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イダー 7

2008.12.15  *Edit 

 イダー 7

 人影が走り出した。

 すぐに、奥から2つ。

 1つ目がホースと分かる頃、2つ目と3つ目が仲間でない事がわかった。

 金属質な輝き。

 装備や武器でなく、その者自身が金属質だ。

 雪の反射を受けて尚、黒い輝きを放つ。

 もう一人は、白銀。

 周りの雪より、白く凶悪に輝いて見えた。

 殺気の色。

 殺気の輝き。

 私がここに付いた時に感じた感覚がよみがえる。

 濃密な緊張感だ。

「お前は後方支援だ。」

 視界の隅で何かが光った。

 巨大な剣。

 いつの間にか、銃は私の手に戻っている。

「いいな、射程ギリギリから撃て。間違っても近寄るなよ。」

「私は、」

「わかったな。」

 緊張感が膨れ上がる。

 返事を確認する事なく、タリスクが走り出した。

 もっとも、返事が出来たかどうか。

「頼んだわよ。」

 声だけ残してエレンも走り出す。

 また、返事もできなかった。

 深呼吸を一つしてみるが落ち着くはずもなかった。

 ポケットを探る。

 大きな金属片に手があたる。

 握り締めて走った。

 

 銃声。

 怒号。

 すぐに『戦場』の音が聞こえ出した。

 金属が金属に激しくぶつかる音。

 殺気が弾ける。

 その中心へ、絶え間なく光が打ち込まれる。

 味方からも、敵からも。

 銃を構える。

 捕らえて、撃った。

 火花が散る。

 白銀の敵がこっちを向いた。

 モニターやセンサーを防護板で覆った「顔」。

 無表情なその「顔」が笑った、気がした。

 背筋に寒い、ここの空気よりも冷たい何かが駆け上る。

 震えながら、撃つ。

 効いていない事が分かっていても、撃たずには居れない。

 逃げろ、と言ったのは誰だったか。

 足が動かない。

 やがて。

 作動音が響く。

 白銀が更に大きくなる。

 ほんの数秒。

 それが、とても長く感じる。

 やがてそれは、固定砲台へと変化した。

 シージ。

 帝国の脅威的な威力を誇る、巨大な銃。

 自らを部品として使用するそれは、移動と引き換えに通常の銃とは比べ物にならない

破壊力を生む。

 そして、その銃口がこちらを向いた。

 光った。
 
 感じた瞬間、視界が回る。

 一撃で吹っ飛ばされた。

 誰かの声が聞こえる。

 ひどい耳鳴りのせいで、誰かは分からない。

「大丈夫です!」

 声になったかどうか。

 POTを取り出し、口に運ぶ。

 顔が動いた。

 転がる様に下がる。

 今、私がいた場所が轟音を立てて、爆発した。

 ポケットを探る。

 触った物を確認もせず取り出す。

 ここには、これしか入れていない。

 鍵だ。

「来て!」

 鍵の持ち手のマイクに叫ぶ。

 私の声は、HQに届いた。

 声紋が認証され、私の「機体」が転送される。

 巨大な、茶色の、鉄の人形。

 機甲装備。

 膝を付き、搭乗口を空けている。

『腕』を跳ぶ様に駆け上った。

 銃をシートの傍らに放り投げて、鍵を差し込み、回す。

 搭乗口が閉まり、身震いするように立ち上がった。 

 周りのモニターが灯をともし、周囲の状況を伝える。

 火気管制ON.。

 セイフティ解除。

 残弾確認。

 高速走行用空気圧確認。

 装甲損傷無し。

 そして。

 目標捕捉。

 スティックのトリガーボタンを押し込む。

 甲高い発射音が響く。

 人では到底持ち運べない、両腕の大口径の機銃が火を吹く。

 シージを構え、動けない白銀の兵にかわす術は無かった。

 それでも。

 撃ち続けた。

 私も。

 彼も。

 被弾箇所がモニターに表示される。

 装甲がどんどん削られていく。

 一瞬暗くなる。

 頭部に被弾し、センサーが途切れる。

 すぐに明かりを戻したモニターは、脱出を警告する。

「もう少し、持って!」

 そして。

 勝負がついた。

 その巨大な銃器とともに、雪にうずくまるのを、警告の赤い表示越しにみる。

 大きなため息とともに、力が抜ける。

 勝った。

 危なかった。

 警告の表示は、装甲が8割がた吹き飛んだ事を示している。

 と。

 激しい金属音がした。

 損傷が追加される。

 モニターに黒い敵が、大きく写っていた。

 槍を大きく振りかぶる。

 致命的な損傷の危険をブザーが知らせる。

 機甲の爆発に巻き込まれれば命はない。

 あわてて鍵を引き抜く。

 開きだした搭乗口から転がり出た。

 雪の中を転がる。

 目の前に、槍の穂先が突きつけられる。 

 ここでは捕虜なんて無い。

 倒すのみ。

 降伏は意味をなさない。

 銃を引き寄せ、構え、られなかった。

 横殴りの槍に、雪の中に飛ばされる。

 武器は、ない。

 
 
 

  
  

  

   
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