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イダー 8

2009.01.05  *Edit 

 
 イダー 8

 なんとか、口に運ぶ。

 痛い。

 背中の傷が激痛を伴って癒される。

 暫くして、痛みが引くまで、動けなかった。

 頭を上げる。

 白い、イダーの地面に点々と赤い道。

 私のものか、タリスクのものか。

 やがて雪に覆われて、元の白さを取り戻すだろう。

 身体を持ち上げると、眩暈がした。

 まだ、出血した分が戻っていないのだろうか、視界が暗い。

 バックパックから一瓶とりだす。

 のんびり回復を待っていられない。

 次の敵がいつくるかも分からない。

 足元に小瓶を置いて立ち上がる。

 まだ、あちこちに痛みがあるが、動きは戻った。

 見渡すと、山陰以外に視界をさえぎる物もない。

 銃声や怒号も聞こえない。

 銃のセーフティをONにして歩き出した。

 赤い道を。


 山陰を回り込む。

 いるはず、だった。

 3人が。

 血はここで途切れている。

 少し大きな血溜まりを残して。

「タリスク、エレン。返事してください。」

 無線に呼びかける。

 返事が無い。

 銃を構えた。

 何か、あったのだ。

「逃げて!」

 銃声と同時だった。

 目の前を何かが横切る。

 あわてて飛びのく。

 再び銃声。

 肩の装備が弾ける。

 銃声のした方を見る。

 片膝で大型の銃を構えている。

 そこに、確かに誰もいなかったのに。

「コラよ!逃げて!」

 エレンの声が無線から響く。

 走った。

 敵の銃から逃れるにはジグザグに走るのが基本だ。

 どこかで習った、そんな言葉がよみがえる。

 転がるように、走った。

 右肩に熱い感触。

 何とか走った。

 背中。

 走った。

 橋が見えた。

 これを渡ればべラードの発着場だ。

 右足。

 足が前に出ない。

 雪に埋もれた。

 後ろから雪を踏む音が聞こえる。

 埋もれたまま、振りかえ、られない。

 激痛が、動きを止める。

 雪を踏む音が止まった。

 そして。

 ジェット音。

 銃声。

 甲高い金属音。

 新たな痛みはなかった。

「また、随分と。」

 若い男の声。

 聞き覚えはあった。

「やられちゃいましたね。」

 無線で何度か。

 銃声と金属音が何度か響く。

「・・・さて。」

 ようやく振り返る。

 青白く輝く鎧。

 大きな盾。

 スコープのモニターに、それ以上に目立つのは、光。

 羽の様な光が見える。

「随分、お世話になったようだ。」

 剣を抜く。

 小ぶりの片手剣は、青白い霧を纏っている。

 と。

 雪原に不気味な笑い声が響く。

 言わば、場違いな。

 言わば、不気味なほど似合う。

 そして、それは雪原から湧き出した。

 両手を剣と化し、椅子に固定された、召喚されしもの。

「イシス・・・」

 呟きは盾の持ち主の口から漏れた。

 見ると、少し離れた場所に杖を構えた人影が見える。

 彼女が召喚主のようだ。

 もう一人。

 盾と片手剣を構えて走ってくる。

「黒い騎士殿か・・・」

 何故か、笑いを含んでいる。

「離れていてください。」

 顔をこちらに向ける。

 それでも、その盾は銃弾を弾き続ける。

「少し荒れそうだ。」

 コラの銃撃手と盾の持ち主が入れ替わる。

 召喚されたイシスが回り込む。

 そして。

 まず、盾の持ち主が吹き飛ばされた。

 立ち上がれずに、そのまま光となって上空に消える。

 銃弾が降りかかるが、全て盾に火花を散らして消える。

「あなたには、お世話になったようですね。」

 歩み寄る。

 後ずさる。

 追いつく。

 一撃。

「ま、お礼という事で。」

 剣を抜く。

 血が噴出し、光と共に天空に消える。

「さて。」

 イシスに向く。

 召喚主がイシスの影に入る。

 歩き出した。

「どちらから逝きますか?」

「両方」

 後ろから聞こえた。

 女性の声だ。

 振り返る暇はなかった。

 目の前に炎が吹き荒れ、巨大な岩が降り注ぐ。

 それで、終わりだった。

 後にはイシスも、召喚主もいなかった。

「はい、おしまい。大丈夫?」

 私の顔を覗き込む。

 幼い顔立ち。

 バレリーナの様な服。

 全てが戦場という、この場にそぐわない。

 が、彼女の右手の杖が、恐ろしい破壊力を持つ事は、今証明されている。

「帰ろ。みんな心配してるよ。」

 差し出された手を握り返した。


 
  
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